定例会議のファシリテーション

先日ある企業から、「定例会議を観察し、改善の余地を提案してほしい」という依頼を受けました。

実際に会議を観察してみると、大きな問題のひとつは、この会議の目的に齟齬があったことでした。主催者にとってこの場は「進捗の思わしくない事項について討議する場」でしたが、参加者や私の目にはただの「報告会」と映りました。実際、報告に要した時間、質問・討議の 時間を計測してみるとこの傾向は明らかになりましたし、参加者の発言の統計結果からもごく一部からの発言しかないことがわかりました。

目的を「討議」とするなら、話し合いを促進するためのプロセスを事前にしっかりと設計する必要があります。進行の設計、議題ごとの時間設定はもちろん、報告時間と討議時間を分ける、討議すべき論点を明 確にするなど、行うべきことは数多くあるのです。

担当者が作成した企画書や提案書を、チームでレビューするという会議が、毎日のように行われていたシステムソリューション企業でも、「時間をかけているのに、なかなか顧客にアピールする内容にならない」 という問題を抱えていました。 このレビュー会議を観察し、2つの問題に気づきました。

  • 参加者が、50ページ以上に及ぶ提案書に、ミーティングの場ではじめて目を通している。
  • その結果、ミーティングの後半になって、前提を疑問視したり、そもそも論がでてきてしまって、代替案も出ず、議論が収束しない。

この状況から抜け出すためにファシリテーターが提案したのは、「議論のステージをふたつにわけること」でした。

  • 前半はたたき台を用意せず、各自がコンセプトを持ち寄って自由に議論し、「発散」の時間とする。
  • ある程度方向性が固まってきたら後半のステージに入り、誰かが最終成果物のたたき台を用意し、それをもとに話を進めていく。

このようにすることで、アウトプットの質の向上はもちろん、参加者のモチベーション向上も実現したのです。

今回は「技術開発の判断会議」のファシリテーションを依頼されたケースです。
この会議は、前半の開発チームの経営陣に対するプレゼンテーションではプロセスの詳細や開発の苦労話に焦点があてられ、これに対する後半の経営陣からの発言は「ところで」という言葉で始まる質問に終始していました。

われわれは、この会議の問題点は「的」がないことだと感じたので、 議論の焦点となる「的」の設定を提案しました。

すなわち

  • 経営陣に対しては、開発案件の継続について判断する項目と基準を確認
  • 開発チームに対しては、その基準に即してプレゼンを行うことを確認

実際の会議でもホワイトボード上に「的」を作り、討議の内容をここに書き出して行きました。
判断、すなわち意思決定が必要な会議においては、判断基準を明確にし、そこに向かって材料を並べ、討議をしていくことが欠かせません。